ジグリングは股関節症に加えてひざ関節症にも有効で足ゆらマシンなら簡単に継続可能

足をゆらしてひざ・股関節の軟骨再生!
「ジグリング」でひざ・股関節症の激痛が消失し人工関節を回避できると大注目「足ゆらマシン」

上戸康平 医療法人秋桜会新中間病院整形外科部長
かみと。こうへい
2006年、鳥取大学医学部卒業。日赤長崎原爆病院、長崎大学病院臨床研修センタ一、
同大学病院整形外科、長崎県島原病院、長崎市民病院(現・長崎みなとメディカルセンター)、北九州市立八幡病院、大分県立病院などでの勤務を経て、2018年4月より現職。
日本整形外科学会專門医・認定リハビリテーション医・認定スポーツ医。

ジグリングと出合い標準治療外でも有効な可能性があると考えを180度改めた

私がジグリング(貧乏ゆすり様運動)と出合ったのは、2018年6月に福岡市で開催された第55回日本リハビリテーション医学会学術集会のときのことでした。
いっしょに参加していた理学療法士の一人が偶然、足ゆらマシンが展示されているプースに立ち寄ったのがきっかけで、その存在を知るようになったのです。足ゆらマシンとは、
ジグリングが簡単にできるようにサポートしてくれる医療機器のことです。

ただ、興味を抱いたものの、当初の正直な印象は「股関節が対象なのか…」というものでした。
というのも、変形性股関節症の患者さんは一般のクリニックにはあまり行かず、結局は人工関節や関節温存の手術が行える大きな病院を紹介されるケースがほとんどだったからです。ところが、ある当直の夜、ジグリング療法の提唱者である故・井上明生先生が執筆された
ジグリングに関する記事を読んで、目からうろこが落ちるほどの衝撃を受けました。

まず、CPMの概念が根本的に覆されたことです。CPMはひざや股関節の屈伸を行うリハビリ用の器具です。
私たち整形外科医が読む専門書にはすべて「CPMといえば、可動域(動かすことができる範囲)の改善」のことしか述べられていませんでした。

しかし、CPMを考案したソルター博士の着眼点は、可動域の改善ばかりではなく、軟骨の再生にあったのです。井上先生は、ジグリングに関する記事で初めて日本の
整形外科医にCPMと軟骨再生の関連性について広めてくださいました。

残念ながら、従来の整形外科では「軟骨は再生しない」というのが常識とされています。
例えば、ひざの人工関節手術のさい、患者さんのひざの骨を見ると、確かに荷重部のひざ軟骨はすり減っています。しかし、その周りには軟骨がたくさんできていることが
あるのです。実際に立ち合った人工関節の手術でも、関節周辺にできていた骨棘(骨の突起)は分厚い軟骨で覆われているケースがありました。

「軟骨は再生する!」。そう気づいた私は、軟骨は再生しないわけではなく、必要な部分で再生していないだけだと考えを改めるようになりました。
軟骨には、血管やリンパ管、神経がなく、栄養は関節液によって補給されます。
しかし、軟骨がすり減って圧力が高くなり、隙間がなくなっているところには関節液は行き渡らなくなってしまいます。そこで、ジグリングのような関節に
負担をかけない連続的な運動によって関節周辺の筋肉が弛緩して柔らかくなれば、患部の圧力が弱くなって関節液が行き渡るようになり、軟骨が再生すると
考えられるのです。

ジグリングとの出合いは、私が常々抱いていた疑問が氷解し、すべてがつながった瞬間でした。私の専門は外傷で、主に転倒や交通事故、スポーツなどによる骨折が治療対象です。そのため、人工関節にこだわることなく、保存療法の新しい一手として
ジグリングを受け入れることができたのかもしれません。
実をいうと、私は以前、サプリメントや健康器具、民間療法など、保険診療外のものは頭ごなしに否定するタイプの医師でした。しかし、ジグリングが私を変えてくれました。
実際、他の病院で人工関節の手術をすすめられていた変形性股関節症の患者さん(72歳・女性)が足ゆらマシンを試したところ、股関節の激痛が半減するまでに
改善したのです。

ジグリングの効果を目の当たりにするようになってからは、
患者さんの症状を改善する一助になるのであれば、標準治療の範囲外でも医師個人の常識に縛られて拒絶する必要はないと考えを180度改めるようになったのです。

ジグリングの効果は絶大でひざ関節症の痛み・関節水腫の改善した例が続出している。

私が勤務する新中間病院(福岡県中間市)には、変形性股関節症もさることながら、桁違いに数が多い変形性ひざ関節症の患者さんが通われています。

私は、どうにかしてジグリングを変形性ひざ関節症の患者さんにも応用できないかと考え、2018年9月からジグリング外来を開設することにしました。
毎月の第2·第4金曜日にジグリング外来を開き、毎回新規の患者さんにジグリングのやり方などを指導しています。足ゆらマシンを使っている患者さんの内訳は、変形性ひざ関節症50人、変形性股関節症と五十肩がそれぞれ数人です。

ヒアルロン酸注射が無効のひざ関節症の痛みが改善し歩き方もしっかりしてきた

ジグリングは効果絶大で、真面目に一日2時間取り組んだ患者さんでは痛みが半減した方が約半数、中には1~2週間で痛みが半減した方も何人かいます。また、変形性ひざ関節症の患者さんの中には、ひざにたまる水(関節水腫)が改善し、水を抜く必要がなくなった方もいます。
次に、顕著な改善例をご紹介しましょう。

人工関節の手術を決意するほどのひざ関節症の痛みが軽くなり杖なしで山歩きを楽しめたAさん(86歳·女性)

Aさんは、80歳を過ぎた頃から右ひざの痛みが気になるようになり、市内の整形外科で変形性ひざ関節症と診断されました。その後、二週間に一度の頻度で通院してヒアルロン酸注射による治療を受けたところ、右ひざの痛みは一時的にらくになったそうです。

Aさんは定期的に通院し、注射による治療を受けていました。ところが、ヒアルロン酸注射による治療の効果は一週間程度しか持続せず、次の治療までの一週間は右ひざをかばうようにして歩いていたそうです。そのせいか、しだいに左ひざも痛むようになってしまったといいます。

Aさんはひざの痛みのために正座ができなくなり、長年習いつづけてきた茶道のけいこを中断せざるをえませんでした。
また、趣味の山歩きもできなくなってしまったと嘆いていました。

杖をついて足を引きずるようにして歩くのが精いっぱいだったAさんは、整形外科の医師から人工関節の手術をすすめられました。しかし、ひざの手術をすると正座ができなくなるおそれがあることを知り、茶道への復帰が絶望的になることから手術を断ったといいます。

Aさんが「どうにかして手術を避けたい」と私のもとを訪れたのは、2018年9月のことでした。そこで私は、Aさんに足ゆらマシンの使用をすすめました。

Aさんは足ゆらマシンの速度を遅めに設定し、15分を1セットとして一日に最低二時間は使うようにしたそうです。時間に余裕がある日は、一日に4時間使うこともあったといいます。
すると一ヵ月後、Aさんは歩くのがつらいほどのひざの痛みを覚えることがなくなり、近所への買い物程度なら、杖なしで出かけられるようになったのです。
娘さんと久しぶりに再会したさいには『歩き方がしっかりしている」と驚かれたそうです。

足ゆらマシンを使うことでひざ痛が気にならなくなったAさんは、以前のように気軽に外出できるようになったそうです。
また、2018年11月上旬には娘さんといっしょに山あいの温泉地に出かけ、杖なしで付近の山を散策できたといいます。

最近では、お風呂の中で正座もできるようになったと喜ぶAさん。近い将来、茶道のけいこを再開できるよう、これからも足ゆらマシンを使いつづけてい
きたいと話していました。

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